世界ブラインドゴルフ協会の成り立ち
ゴルフは老若男女、身体的障がいの有無に関わらず、誰でもプレーできるスポーツです。視力が良くなければゴルフはできないと多くの人が考えますが、そうではありません。全盲や視覚障がい者のゴルファーも、コーチまたはガイドと呼ばれる人の助けを借りて、ゴルフを通して運動や友情がエンジョイできます。しかしやはり一番はナイスショットを打つことを楽しむことができるのです。ブラインドゴルファー同士の試合や、ハンディキャップシステムを用いての睛眼者との試合にも挑むことができます。
盲人がゴルフをしたという最初の記録は1924年のミネソタ州ダルースにさかのぼります。クリント・ラッセルは事故で視力を失いましたが、その後もゴルフを続けました。1930年には、18ホールで84という彼のスコアが記録されています。1950年代初めには他の盲人たちもプレーをし、カナダとアメリカでブラインドゴルフ協会が設立されました。その後、1980年代には、英国や日本、オーストラリアで協会が立ちあがりました。1998年には、世界オープンのブラインドゴルフイベントを運営、認可、後援するために世界ブラインドゴルフ協会(IBGA)が設立されました。1998年までは各国の協会が定期的にオープン選手権大会を開き、その度に日本人実業家である半田晴久博士から、充実した資金提供を受けてきました。半田氏はオーストラリアで盲人ゴルファーとプレーをした際に感銘を受けて関わるようになりました。
半田氏は、彼自身が支援金申請に対応する代わりに、すべての協会を代表する団体に任せられればと考えました。1997年、6カ国の代表が西オーストラリアのパースで会合を開き、そのような団体のための定款とハンディキャップシステムを作成しました。翌年の1998年、アメリカのフロリダ州で開催された世界ブラインドゴルフ選手権においてそれらが承認されて、世界ブラインドゴルフ協会が誕生しました。
世界ブラインドゴルフ協会(IBGA)の半田総裁は、IBGAを通じて世界中の大会を支援しています。毎年6~7回の国内大会があり、さらに2年おきに、ブラインドゴルフ世界選手権大会が行われています。前回は、2014年にオーストラリアで開催。2016年大会は、日本で行われます。
現在、IBGAには16カ国のゴルフ協会が加盟しており、400名以上のブラインドゴルファーが登録されています。また、2カ国が準加盟国として参加しています。IBGAは、ブラインドゴルファーのさらなる増加を願っています。そして、障がい者ゴルフのパラリンピック競技入りを目指す取り組みにも参加しています。
世界ブラインドゴルフ協会 加盟国一覧
世界ブラインドゴルフ協会からの手紙
半田晴久JBGA名誉会長が、世界中のブラインドゴルファーやブラインドゴルフ協会に呼びかけて、1997年にブラインドゴルフの最高機関として発足した世界ブラインドゴルフ協会(IBGA)。
IBGAは発足以降、ブラインドゴルフの世界選手権大会や各国での国際大会の主催・後援やルールやトーナメント規定の統一、整備を進めるなど、世界規模でのブラインドゴルフの振興に尽力してきました。1999年にはアイルランド共和国がIBGAに正式加盟し、さらにオランダ、ドイツ、スペイン、フランス、ニュージーランドなどの国々がIBGAへの加盟を目指して、各国での協会設立や組織の拡充に力を注いでいます。
また、2年に一度の世界選手権と同時にひらかれるIBGA加盟国による国際会議。その他にも定期的にアメリカ、イギリス、日本などの理事国が参加し、世界数カ国を電話回線でつないで行われるIBGA理事会国際電話会議もひらかれており、ブラインドゴルフにおける一層の国際協力が着実に進んでいます。そして、パラリンピックへの参加も、近い将来の具体的な目標として各国が認識するようになりました。
IBGAが、ブラインドゴルフの最高機関としてめざましい発展をとげるなかで、一般的な支援者とは異なり、人と人、組織と組織、国と国とを自らが情熱をもって結び、世界的なブラインドゴルフの推進役として活動してきた、半田氏の足跡はブラインドゴルフの歴史の中でまさに偉大な光となって輝いています。
IBGAのメンバー達は、半田晴久名誉会長の援助がはじまった1988年を境にして、世界のブラインドゴルフ活動が飛躍的に発展してきたことを深くうけとめています。1999年11月に行われた、IBGA理事会の国際電話会議でもそうしたことがあらためて取り上げられ、IBGA理事会は世界のブラインドゴルフ組織を代表して半田名誉会長への感謝状を送ることを全会一致で決議しました。
ここに世界ブラインドゴルフ協会理事会並びにメンバー協会から、半田名誉会長に送られた感謝状の和訳をご紹介させていただきます。
1999年12月11日
日本ブラインドゴルフ振興協会 半田晴久様
拝啓
世界ブラインドゴルフ協会(IBGA)の理事会ならびにメンバー協会を代表してご挨拶申し上げます。
1988年より、視覚障害者の人々ためのゴルフに対してご支援をいただき、私共の心からの感謝をお伝えしたく存じます。
貴方がブラインドゴルフ協会に参加されて以来、その進歩および成長の勢いは本当に目覚ましいものです。貴方のイニシアチブならびに関与により、1997年にIBGAの暫定的な理事会がオーストラリア西部のパース市で発足しました。パースでのミーティングに出席した代表は皆そのような歴史的場面に立ち会えたことを非常に光栄に思いましたし、ブラインドゴルフの将来に向けて私たちが大きな発展を遂げたことをその時に目の当たりにしたのです。同時に、そうした発展は世界中のより多くの視覚障害者にゴルフを始めるきっかけを与え、より一層彼らの健康および精神の維持に貢献しながら、なおかつ社会の中で晴眼者と融合するチャンスを彼らに与えてくれるだろうとの期待が膨らみました。
私の記憶している限りでは、その当時まで国際大会はわずか2回しか行なわれていませんでした。現在では日本、オーストラリア、カナダ、アイルランド、スコットランド、イングランド、そしてアメリカ合衆国において、毎年ブラインドゴルフの国際大会および国内大会が開催されています。
IBGAのイベント委員会はメンバー協会と協力し、貴方に敬意を表する意味でハンダ・カップ(半田杯)と名づけた特別なコンペの開催を計画しています。そのような誉れ高きイベントを実施するにあたり、情報に基づくきちんとした決定がなされるよう、メンバー協会に対してそれに関するアイデアを要請しているところです。
イベント委員会はまた、南アフリカにおけるブラインドゴルフの奨励を目的とした特別なデモンストレーションについても、その可能性を吟味するよう依頼を受けています。これはゲーリー・プレイヤー氏ならびにゲーリー・プレイヤー財団から提案されたアイデアです。
現在IBGAは、視覚障害者のための世界選手権を隔年で開催する件についても奨励しています。IBGAの援助によるこの最初の大会は、スコッランドのエジンバラ市にあるマリオットダルマホイ・ホテル・アンド・カントリークラブにおいて2000年に開かれる予定です。その後2002年の大会はカナダのウィニペグ市で、2004年の大会はオーストラリアまたはイングランドで開催される予定になっています。
先にも申し上げましたが、貴方の参加を得てからブラインドゴルフの成長、発展、ならびに規模の拡大は本当に目覚ましい勢いで実現されました。貴方からの援助や貴方自身の洞察力、および判断力なくしては、そうした並外れた飛躍は得られなかったと私たちは皆認識しています。
IBGAならびに全世界のブラインドゴルファーを代表して、これまでの貴方のご尽力と、今後のブラインドゴルフの発展に向けた引き続きのご支援ならびにご貢献に対し、私から厚くお礼申し上げます。
貴方と貴方のファミリーに対し、心よりご多幸をお祈り申し上げます。
世界ブラインドゴルフ協会事務局長
ジュラルド.T.ケリー